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デザイナーの視点 by Giorgio Zehnder

50 年代に一世を風靡したあのFiat 500A〜Cまで「トポリーノ」の愛称で親しまれた伝説の車のモデルチェンジで生まれたヌオーバ500は1957年から製造が始まり1975年まで最終型の500Rまで世界中の人々の足として親しまれた愛すべき存在であり、どんなに挑発的モディファイを数々のチューナーから受けても誰もがその素顔を人目で見破れるほど個性が強く、また長年愛されてきた車は世界中探してもFiat 500以外思い浮かばないであろう。
今回のこの車がまさにそうであるように。
信じられない程過激な衣装をまとったこの「2000cc 16V ピッコロ・ディアボロ」
馬力は4倍、メカニカルな部分は総入れ換えのうえに、超幅広フェンダー、エアインテーク、スリックタイヤ等様々なモディファイを受けてコンペティションカー仕様への傍若無人ともいえる大改造の後でも、
「ほらそのシルエットに見覚えがあるでしょう?」
町の景色の一部ともいえるあの親しみのある美しいフォルム。
でも一旦エンジンがかかると親しみが驚嘆にとって変わる。
この車は、不可能を可能にする能力と、観衆をあっと驚かせる情熱、やる気、そして技が作り上げたまさに逸品だ。
ほめすぎ?全然。
確かな能力と技術によって驚きの結果がもたらされる時、それを見て見ぬ振りはできないまでだ。


 

製作者 Ettore Sarandrea &Massimo Sarandrea&Cerroni

Ettore Sarandreaは本当の職人でデザイナーとは一線を隔する。彼の本業は板金工でメカニックは彼の工場では通常手掛けていない。お得意のグラスファイバー樹脂やカーボンファイバーを使いどんな形でも作り出してしまう彼の技がそこ彼処にこのチンクエチェントMaxiには光っている。そんな彼のスポーツカーへの情熱は、自らメカニックさえも手掛けてしまうが彼の人としての人望の厚さから多くの協力者が彼の匠の技を支えている、そんなよき仲間の一人であるCerroniはイタリア海軍出身の腕の良いエンジニアでイタリア各地から彼の腕を頼ったプライベーターは言うに及ばずコンストラクターの仕事までこなしてしまう豪腕でEttore Sarandreaの良き理解者でもある。こうして彼はスクラップになりかけていた1台のチンクエチェントの車体から、サーキットや彼の地方で開催されるロードレースで勝利する為の「大きなおもちゃ」作りを思いついた。Ettore Sarandreaは実現不可能と思われる夢の前でも決してたじろがないタイプの人間でプライベートタイムさえも寝る間も惜しんで仕事場で過ごし、限られたツールと、あまりある情熱で夢を現実のものとしてしまうのだ。本業はクライアントの要望に応えたレーシングカー、ラリーカーの製作とワンオフのスポイラー製作で時間が許せば旧車のレストアも受けてくれる。

文章 Giorgio Zehnder
翻訳 可児 妙子(アリゼオ・ジャパン)

 
 
     
 
   
   
   
   
   
         
 
     
     
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